何を書くか?何を書けるだろう?何を書きたい?と相当迷走していたら世間では一通り考察され尽くしてしまいこんな時間となってしまいました(完)。
2回目があるかはともかく、今回は1回目なので総論的なことを話したいと思います。
まず総合的に見ればとても面白い映画でした。
アニメよりはるかにポップでキャッチーでありながら締めるところは締めている点、またアニメとは違う点を見せながら「ラブライブ!」から受け継がれた「ラブライブ!サンシャイン‼︎」の物語の続きをきちんとやっているなという印象でした。一度見た時「ちゃんとした作品でよかった...」と安堵しました。
「ラブライブ!サンシャイン‼︎」の1期ではμ'sに憧れ「自分も輝きたい」と願った高海千歌が憧れをなぞるだけではなくて憧れは持ちながらもとらわれず自由に羽ばたくことという気づきを得て「MIRAI TICKET」をようやく手にする話。
2期では廃校を阻止するために駆け回るも廃校は阻止できなかった。そういう厳しい現実に直面するも、「この学校の名を残すこと」がみんなの願いだと気づき、そうして形を叶えながら夢を叶えようと精一杯努力した過程こそ「自分の輝き」だと気づき、自らの内なる輝きに気づく物語でした。
メーテルリンクの「青い鳥」に見立てたストーリーですね。
アニメのメインテーマの一貫した美しさは楽曲で伝わる部分も含めわかりやすく光るものがあったなと感じています。だからこそ大好きなんだけども。
さてここからは思いっきりネタバレしますのでご注意ください。
曜ちゃんにブログに上げろと脅されたので、ラブライブ!サンシャイン!!フォトセッション!!のちかっちでも貼っときます(サムネがないのが寂しいしね)
撮影が下手...
(1/19追記 映画を見直してセリフの間違いがひどいので直しました。特に聖良のやつはひどい。太字にしたところが全然違うんだけど...)
目次
この映画のメインテーマ
この映画のテーマは大きく言えば二つ。「心からの気持ち」と「消えるものと残るもの」ですね。
心からの気持ち
言い換えるなら「子供心」とか「夢見る気持ち」でしょうか。このテーマ自体は「ラブライブ!」の映画から幾度と繰り返されてきたものです。
この「ラブライブ!サンシャイン!!」の映画において大人というのは「敵」の象徴、現実を突きつけるものとして描かれます。
明確に敵として立ちはだかるのが、「統廃合先の父兄」と「鞠莉の母親」ですね。
「統廃合先の父兄」
「統廃合でだらしない浦の星の生徒を入れて部活動が弱くなったらどうするんだ」と実際に定員割れしている「浦の星」を好意的に思っていない者がいるという現実を突きつけてきます。
「鞠莉の母親」
鞠莉を結婚させることで自由な活動を止めようとします。
「浦の星の廃校は阻止できなかった」
「でもラブライブ!では優勝した」
「それが何になるっていうの、くだらない」
「スクールアイドルはくだらなくなんかない!」
と鞠莉の母親は"浦の星の廃校を阻止できなかった"という最も大きな失敗を挙げることで現実をつきつけてきます。
夢と現実の二項対立ですね。
幼少期
その大人の二項対立の象徴として映画に出てくるのが「Aqoursメンバーの幼少期」(子供)です。
映画では最初のシーンと最後の内浦の海で紙飛行機を飛ばすシーンで登場しています。
紙飛行機を飛ばすって邪気のない行動なんですよね。
この幼少期のAqoursの姿は過去曲にも出てきます。3rd single「HAPPY PARTY TRAIN」のMVですね。
この「HAPPY PARTY TRAIN」も果南の卒業を控え「先の分からない未来を子供の頃のように心から楽しむ」ことを歌った歌でした。
Aqours 3rdSingle「HAPPY PARTY TRAIN」Full
想いを乗せて HAPPY PARTY TRAIN to go!
あしたを呼んでる僕たちを
期待で輝く瞳ならみえるよ
遠い駅で きっと何かが待ってるね
「HAPPY PARTY TRAIN」より
解決
鞠莉の母親にはスクールアイドルとしてやってきたことをスペイン広場で、統合先の父兄にはラブライブ決勝延長戦での「心から楽しんでいる姿」を見せることで解決します。
ラブライブ決勝延長戦では「部活って楽しむためにあるんだ、精一杯やっていてそれ以上に楽しんでいる。だから僕たちも頑張らなきゃダメなんだ。」ということに月も気づき、統合先の静真高等学校の生徒にも協力を得ることが出来るようになります。
まさに夢のあり方ですよね。心から楽しんで楽しめるその結果一生懸命やる、それで結果が残せたら最高じゃない?そんな夢のあり方をAqoursが示してくれています。
ただし、彼女達は全てが上手くいったわけではないのです。
最後の鞠莉のセリフですが「一番叶えたかった願い(=廃校を阻止すること)」は叶えられなかったんですよね。でも、叶えたかった願いを叶えるため精一杯やったことは「自らの輝き」であった。だからその願いが叶えられなかったという失敗は決して無駄ではない。
むしろ「一番叶えたい願いを叶えられなかった。だけど、精一杯やることで他にはない素晴らしいものをたくさん得られたんだ」というのがアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」のテーマであるところの「自分の認識が変われば世界が変わる」なんですよね。
「消えるものと残るもの」
一つ目のテーマは「ラブライブ!」そして「ラブライブ!サンシャイン!!」に受け継がれたテーマの再演でした。
この映画ではさらに「その思い出はどんな場所に行っても消えずに心に残っていく」ということに気付くんです。それが二つ目のテーマなんですよね。
新生Aqoursとして動き出すことを決めたもののどうしても卒業した3年生がいないことを不安視し、新しいAqoursは何なのか?について考え悩む6人。
そんな6人に対して、"消えるもの"である卒業生は既に答えを見つけている様子。
果南「自分で考えるしかない。でも、鞠莉の気持ちも、ダイヤの気持ちも私の気持ちもここ(千歌のハートを指す)にずっとある」
鞠莉「パパとママが育ててくれたように、自分の中でのスクールアイドルとして過ごした日々は自分を作った一部だったんだ。だから、その日々をなかったことにはできない」
聖良「私と理亞がともに続けたSaint snowはずっと残り続ける。だから追いかける必要はない。」
鞠莉の話でも理亞の話(後述)でも言いたいことは結局同じなんですよね。ただ消える側は自分たちがいなくても思いは残るんだって残してきたんだと思っているんだけど、残された側は去ることにより全て消えてなくなってしまったと思っている。そんな非対称の関係を映画を通して同じ思いにしていくのが新しいAqoursの在り方でした。
会いたくなったら 目を閉じて
みんなを呼んでみて そしたら
聴こえるよ
この歌が ほら次はどこ
一緒に行こう!
忘れない 忘れない 夢があれば
君も僕らもなれるんだ なりたい自分に
「Next SPARKLING!」より
「思い」があることを信じて心の中にあるんだと、消えてないことに気づきながら進んでいくこと。これが新しいAqoursになるためのテーマでした。
補足
テーマ以外で書いた方がいいかなと思ったことを書いてます。鹿角理亞と高海千歌の話。
鹿角理亞
新生Aqoursと実は同じ悩みを抱えていた、鹿角理亞。
鹿角理亞は取り返しのつかない失敗を引き釣り続けている存在として描かれています。
理亞のいるSaint Snowは最後のラブライブの舞台で決勝に行くこと、そして優勝を目指していた。
しかし、優勝候補と言われたSaint Snowはらしくないミスで函館の予選で敗退してしまった。
理亞にとっては姉様(聖良)とラブライブで決勝に行くことは「叶えられなかった夢」となってしまった。
アニメ2期8話、9話では「姉様との最後のライブだったのに失敗してしまった…」と落胆する理亞に対して、ルビィが「じゃあ最後にしなければいいんじゃないのかな!」とSaint Aqour Snowとして函館で姉様との最後のライブを終えて解決するですが、理亞にはもう一つの夢が残っていたんですよね。
それが、ラブライブで決勝に行くということ。姉様との軌跡だったSaint Snowを予選敗退で終えてしまったという罪悪感は消えていなかったんですよね。
理亞の問題を解決するために、Aqours9人が考えたのがAqoursとSaint Snow2ユニットだけのラブライブ!決勝戦の延長戦。
そこで聖良はもしラブライブ決勝にいけたら伝えたかった「聖良の思いは消えないまま、残っていく。だからSaint Snowは消えないんだ」ということを伝えることができます。
こうやって理亞の叶わぬ思いは形を変えて叶って理亞は救われるんだなと。
一番いいシーンがこのSaint Snowのところなんて言われるのはまあわかるんだけど、あくまでAqoursの物語なんですよね。
ただ、今までのAqoursからいってSaint Snowを切り捨てるということはできないし、それもAqoursの持ち味であるはずだと思います。
そういう点も含めSaint Snowが物語上救われる必然性があるはずなんですが(きっと渡辺月が「スクールアイドルって凄いんだ!」と気づく瞬間のために存在するんだとは思うんですが)、ちょっとうまくまとまらない(というかとりあえず公開したい)のでいずれ追記できればいいなと思います。
高海千歌と「MOMENT RING」
ま、Saint Snowの話はみんなが書いてると思うので自分はこちらにフォーカスしたいです。
アニメでは"メンヘラちかっち"なんて言われたように、自分の夢と現実のギャップにかなり苦しんでいた千歌。
映画がポップに感じられたのは見れたのは千歌の成長があったんだよなと感じます。前半のAqoursって何だろう?と思い悩むシーンも梨子が「私たちの答えは走りながらじゃないと見つからない」と励ますシーンや最後は「じゃあ走ろうか!」で終わるし今の千歌の中には「行動」が先にあるんですよね。
「諦めない!」言うだけでは叶わない
「動け!」動けば変わるんだと知ったよ
「WATER BLUE NEW WORLD」より
この世で1,2を争うくらい好きな歌詞なんですが、まさに千歌の心には迷いはありながらも、走り続けるんだというこの姿勢が既に0になっていないんですよね。そもそも千歌ちゃんは「0になった」とは映画では言っていないはず(「まだまだ」というのがありましたが)
迷いに揺れる心 それでも前を向いて
止まない雨はないと 走ってきたね
「キセキヒカル」より
大分話はそれましたが自分が言いたいのは最後の浦の星女学院の前に9人で立つシーンです。
浦の星女学院の扉が開いてるんですよね。
2期13話では学校との別れとなり閉める際には涙した千歌ちゃん。
「浦の星の思い出は笑顔の思い出にするんだ!泣くもんか!泣いてたまるか!」
これに対して映画での千歌はあっさり閉めるって言うんですよね。
なぜなら今までのことは「全部心に残っている」ことを知ってるから。だからもう一度その思い出(過去)の中に入る必要がないから。
千歌「学校も、教室も、図書館も、部室も、沼津も人も、内浦も思いもみんななくなったりしない。0にはなったりしないないんだ」
この浦の星女学院の扉を閉めるシーンで思い出したのはμ's「MOMENT RING」でした。
瞬間をリングへと閉じ込めて いつも眺めてたい
どの指がいいかな?
綺麗だね キラキラの毎日をずっと忘れずいてよ
思い出だけじゃないからね
あたらしい夢が生まれてくると 僕たちは知ってるよ
μ's「MOMENT RING」より
あっさり閉めることが出来るのはそのキラキラの毎日が手元にあること(リングをはめるという曲なのでそう表現しています)、思い出の先にあたらしい夢が生まれてくることを知っているから。
この「扉を閉める」という描写がすごく"瞬間をリングに閉じ込める"という言葉を思い起こさせるんですよね。
まとめ~ラブライブ!サンシャイン!!とは”気づき”の物語である~
世界は変わらないように見えても、自分が変われば世界は変わるんだ。
『ラブライブ!サンシャイン‼︎』は、そのことに気づく物語なんです。
映画パンフレットの酒井和男監督の発言より
ラブライブ!サンシャイン‼︎の中で一貫しているテーマは「心の持ちようで世界は変わる」なんですよね。
今そこにある「事実」はどんなに良かろうが悪かろうが揺るがない。それをどう捉えるかは自分次第。そういった「気づき」があるかどうか。
ラブライブ!サンシャイン!!は"気づき"の物語なんですよね。
サンシャインの物語の続きであると評しましたが、何かを通して千歌やAqoursが重要なことに気づき未来へ進んでいくというテーマは映画でも同じだったと思うからこそ、最初に出てきた言葉だったのです。また、その"気づき"は千歌に限らずアニメのキャラクター、さらには視聴者にまで届いているものと思います。
実は自分がラブライブ!サンシャイン!!を見る以前から強く思っていたことの一つで、それをこうやって表現して常に思い起こさせるような物語が自分の好きなラブライブ!で生まれるなんて...というのがラブライブ!サンシャイン!!を「高い評価はつけなくても特別視してしまう」理由の一つなのかもなあとか思います。思想に賛同し賞賛する。いや、宗教か。
私の個人的な話はともかくともかく、このテーマってすごく一般的と思うんですよね。だからこそこの話に惹かれ、元気をもらえている人がいるのだと思います。
そうです
自分らしくと呪文を唱えたら
仲間を見送ることを 受け入れながらも
ゼロじゃない
大丈夫 元気だそう 笑おうよ
「僕らの走ってきた道は...」
映画での"気づき"は「今までの思い出」や「思い」が残っているから「0になっていない」ことでした。
そしてその結末を知ってから冒頭に流れる「僕らの走ってきた道は...」を聞くと「映画の冒頭で答えが出ている」ということがわかります。そう思ってもう1回見ろ!とは言わないけど、そう思って「僕らの走ってきた道は...」の部分を見てほしいなと思います。最後まで話を見終えてから見るとエンドレスループしてるかのような感覚を受けます。
冒頭映像7分公開!「ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow」
↑最初に流れた「僕らの走って来た道は...」まで聴けます。
この記事を書くまでは絶対他の記事を書かない! と決めていたのですが、そもそも書くのに難航したりリアルが忙しかったり風邪ひいたり幕張ファンミ全通したりで全然時間が取れず、
あぁ、やっと手にしたMIRAI TICKETをかざせるというのが素直な気持ち。
なので次の記事はラブライブ!の記事じゃないのを書くと思います。
と言いながら、幕張ファンミの記事かもしれない…。
おまけ
「HAPPY PARTY TRAIN」、「MOMENT RING」の話を公開1ヶ月前にしている「予言者ブログ」です。
僕が映画の2回目を見ているとき上2曲が浮かんでいるこのブログが頭によぎりました。あまりに凄すぎるので紹介します。
自分の感想を書いてから、という思いがあったので、これから新しい記事を読ませていただきます。